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幕の間の出来事13: 香月泰男
 


ものを動かす本流は
平凡と言はれるやうな生活に耐へ得る
人間の力から生れてくるのではないかと思ふ

香月泰男

 

雑誌「暮しの手帖 27」(4−5月号)に香月泰男の特集がありました。身の回りにあるもので楽しんで作っていたという“おもちゃ”を中心としたお話を奥様がされているとてもステキな記事でした。

香月泰男(1911−1974)は昭和に活躍した画家です。自らが体験した満州での軍隊生活とシベリヤ抑留生活をモチーフにした作品で高い評価を受けますが、作品の根底にあるのは常に、画家の感覚・等身大のリアリティだったのではないでしょうか。東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業し、絵描き仲間も仕事も東京にあったと思われますが、復員してから亡くなるまで生まれ育った町、山口県の三隈町で制作しました。

作ることがとても好きで、生まれ育った土地を愛した画家。香月泰男と有元利夫の共通点かもしれません。何事も身近なことから大切にし、些細なことから喜びを見出す。香月泰男のおもちゃや有元利夫の立体作品にはそのためのヒントが隠れている気がします。

− ただの雲がデルラ・フランチェスカの雲に見えたことは
   絵を描いていた私のしあはせでもあり唯一のなぐさめであつた。−
                                       香月泰男

 

 
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