一説によれば、ルソーは絵を描くことで、現実には手に入らない"現実"を手に入れようとしていたそうです。そういった気迫がその作品により一層の説得力をもたせているように思えます。別の見方をすれば、ルソーは過ぎ行く時に抗って、対象を絵の中に閉じ込めようとしたのかもしれません。
小杉小二郎の描く風景や花や静物にはどことなく、時の流れ、時が通過していくという予感や通過していった名残のようなものを感じます。過ぎ行くものだからこそ眼前の風景は尊く、枯れて散るからこそ花は美しく、過ぎ行く時の痕跡としてオブジェたちはそこにあるのだと、忘れていた当たり前のことを思い出させてくれている気がします。
「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展 お問い合わせ先:世田谷美術館 www.setagayamuseum.or.jp 03−5415−6011