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幕の間の出来事09:目の前にあるもの
 

"実在するものは既成の事物ではなくて生成しつつある事物であり、自己を維持する状態ではなくて変化しつつある状態である。"          ベルクソン


一説によれば、ルソーは絵を描くことで、現実には手に入らない"現実"を手に入れようとしていたそうです。そういった気迫がその作品により一層の説得力をもたせているように思えます。別の見方をすれば、ルソーは過ぎ行く時に抗って、対象を絵の中に閉じ込めようとしたのかもしれません。

小杉小二郎の描く風景や花や静物にはどことなく、時の流れ、時が通過していくという予感や通過していった名残のようなものを感じます。過ぎ行くものだからこそ眼前の風景は尊く、枯れて散るからこそ花は美しく、過ぎ行く時の痕跡としてオブジェたちはそこにあるのだと、忘れていた当たり前のことを思い出させてくれている気がします。


モンホーの丘 1995年
世田谷美術館にて開催中の「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展(2006年10月7日〜12月10日)に有元利夫と小杉小二郎の作品が出展されています。

コンカルノの家 1999年

「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展
お問い合わせ先:世田谷美術館
www.setagayamuseum.or.jp
03−5415−6011

 
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