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幕の間の出来事08:妄想とリアリティ
 
 世田谷美術館にて開催中の「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展(2006年10月7日〜12月10日)に有元利夫と小杉小二郎の作品が出展されています。

ルネサンス期以降の西洋絵画の伝統であった遠近法などにとらわれることなく、独自の画風を築き上げたフランスの画家アンリ・ルソー(1844-1910)の描いた花やパリの風景やジャングル。そこには写真的ではない、リアリティがあるように思えます。そのことについて有元利夫は下記のように書いています。

"いい風景を目の前にすると、僕らは知らず知らずのうちに邪魔なものをどけながら見ている。アンリ・ルソーの描く木は、そうやってどんどん邪魔なものを取り去って単純化してあるけれど、まぎれもなく木だし、写真で撮ったよりもずっと深く木の本質というか実体を伝えてくれると思うのです。"                               
有元利夫 「女神たち」 1981 p.72


妄想というものは"心で考えたことと外の世界が合致しない状態のこと"をいうそうです。外の現実世界では起こりえないことが、人間の脳の中ではおこります。これは他の動物にはおこらないことだそうです。私たち人間にとって、心の中と外の世界、どちらがよりリアリティをもつのでしょうか。


「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」展
お問い合わせ先:世田谷美術館
           www.setagayamuseum.or.jp
           03−5415−6011

 
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